
飛行機輪行をするための輪行スタイル、さらには輪行袋や輪行箱・ケースを考えてみたい。普通の電車を使う輪行と違い飛行機輪行は非常に気を使う。
電車の場合であれば輪行袋を自分の見える範囲に置くことができ管理することができる。それに対して飛行機輪行は預け荷物として預けることになり、他人の手に委ねることとなる。
実際に運ばれる時や機内においてどのような状態で輪行袋が保管されるかは全くわからない。そんな不安だらけな飛行機輪行で唯一自身でコントロールできるのが輪行袋や輪行ケースとなる。
飛行機輪行におけるトラブル、ノウハウ、そしてロードバイクを守る輪行袋・輪行ケースなどをみていこう。
この記事の目次
飛行機輸送で起こるトラブル
まず飛行機輸送・輪行で起こるトラブルを見ていこう。普通飛行機で預ける荷物でそんなトラブルなんて無いだろう、そーおもっているあなた・・・そうは問屋が卸しません。
オレ自身、これまで飛行機の荷物として輪行袋を預けロードバイクが壊れたこともあるし、スーツケース破損も含め色々なトラブルを経験している。どんなトラブルが有るかをチェックしてみよう。
ロードバイクディレイラーハンガー破損
これは2014年にオーストラリア遠征した時のトラブル。使っていた輪行袋はオーストリッチOS500。
飛行機輪行する場合、基本的にリアディレイラーは必ず外すため変速機自体壊れることはなかったが、フレームに取り付けてあったハンガーが曲がった。
どんだけ、どんな力が入ったのよ?曲がらないだろ?こんな小さなパーツ。
幸いにもフレームなどに問題はなかった。また現地スタッフの協力でこのハンガーも無事に直ったことも助かった。ちなみにキャリアはエアアジア。
スーツケース破損
スーツケースの取っ手がこわれた。ありえない。
こんなところ壊れるか?どんだけぞんざいな扱いをしているのよ。スーツケースもサムソナイトだぞ。ちなみにキャリアはユナイテッド。
荷物が行方不明
荷物が一つ行方不明になった。スタッフに聞くとオレの荷物は北京に到着をしているとのコト・・・マジか。
ただ、それは帰り帰国便だったので問題はなかった。次の日には宅急便で自宅に荷物は届いた。キャリアは中国南方航空
「飛行機輪行」の実際と気をつける10のポイント
飛行機輪行は非常に気を使うと同時に、用意や準備もちょっと大変。さらに通常の鉄道輪行と比べ、各パーツのバラシ具合も違う。
鉄道輪行であれば、必要最小限のホイールを外すだけで済んでしまう。慣れている方であれば10分ほどで輪行袋に収納完了をして鉄道に乗ることができるだろう。
しかし飛行機輪行の場合はかなり違う。とにかく荷物は人の手に委ねられ、どのような扱いをされるかわからない。
こんな事を言っては何だが、飛行機輪行の場合、ロードバイクや自転車が壊れるかもしれない・・・そのような扱われ方をする前提で輪行の準備をする必要がある。
実際、前述のようにオレ自身ディレイラーハンガーが曲がった事がある。さらにチェーンリングの歯が曲がる、カーボンハンドルが折れる、輪行袋が自転車ごと行方不明などは聞いたことがある。
そんな七転八倒よろしくな飛行機輪行の実際をみていこう。
ソフト輪行袋:オーストリッチOS500の場合
飛行機輪行で一番使っているオーストリッチOS500は一番手軽なスタイル。
フロント・リアホイールを外し外側にあるホイールポケットに入れる。また輪行袋自体に余裕があり、スペースにはウェアやヘルメットなどかなりの荷物を入れることができる。
ロードバイクの緩衝材にもなり一石二鳥だ。
クランクを取り付けたままの場合はペダルを外す。フロント・リアにはエンド工具で防御をしている。
プラダン輪行箱:バイクポーターPROの場合
プラダン製の輪行ボックスを使うのはPBPに行くときに限られる。輪行箱を重ねられたときにバイクの痛みが少ないというのが理由。
ソフトタイプの輪行袋と同様に空いたスペースにはウェアなどを挿入して緩衝材にする。また203cmの輪行箱なのでかなりタイト。そのためクランクを取り外している。
飛行機輪行する際のポイント10選!
輪行をする際、鉄道の輪行とはちょっと違う飛行機輪行。
飛行輪行をする場合の注意ポイントなどをみていこう。
フレームから外せるものはできるだけ外す
ロードバイクのフレームから外せるものはできるだけ外すとよいだろう。
飛行機輪行は他の荷物やスーツケースなどと一緒に積み込まれる。どのような方向から、どのような力が加わるかわからない。
リアエンドが変形したり、チェーンリングの歯が曲がるなど、ホントどんな力が加わるのだろう・・・
フレームはできるだけ保護する
フレームはできるだけ保護すると良い。過剰とも思えるカバーは大事。
これは初めてディスクブレーキロードバイクを飛行機輪行したときのもの。油圧ディスクブレーキのキャリパーはフレームのエンドにあるので、本当に気を使った。
ヘルメットはフレーム後三角に
飛行機に搭乗する場合、ヘルメットはけっこう邪魔。というわけで、オレはいつもヘルメットは収納袋に入れロードバイクフレームの後三角部に入れておく。
ヘルメットを運ぶ場合、ここが一番安全ではないだろうか。まぁヘルメットかぶって機内持ち込みが一番安全だが。
シートピラーはフレーム内に収める
シートピラーは必ずフレーム内に収め、一番短い状態にしてから輪行袋に入れるとよいだろう。
ピラーの突き出し量は何らかの形でチェックをしておこう。
輪行袋にウェアなどを入れて緩衝材にする
輪行袋、輪行ケースにフレームやホイールを入れたあと、スペースがそこそこできる。その空いたスペースにはウェアやアイテムなどを入れ緩衝材にしよう。
サイクルウェア、サイクルパンツはもちろん、服やアンダーウェア類など衣類はかなりあるはず。
リチウム電池やバッテリー類は預け荷物に入れないように。
フロント・リアエンド工具は必ずつける
ロードバイクからホイールを外した状態のフロント・リアエンド部は非常に弱くなる。この部分には必ずエンド工具などを使い保護しよう。
エンド工具がない状態のフロント・リアエンドは非常にヤバイ状態。ふつうに手で押しても歪んでしまう。こんな状態で荷物を重ねられたらマジヤバイ。必ずエンド工具で保護すること。
クランクはできれば外そう
飛行機輪行の場合、できればクランクを外すことおすすめする。海外ブルベ遠征をした時、このチェーンリングの歯が曲がったという事例を少なくとも3人から聞いたことがある。
チェーンリングの歯が曲がるとけっこう絶望的。現地のサイクルショップでチェーンリング手に入ればいいが、それよりもフレームからクランクを外すほうが良い。
クランクを外すことでフレーム全高も縮まり、壊れる確率も非常に低くなるのでおススメだ。
リアディレイラーは必ず外す
輪行ケースによってはリア変速機を付けたまま収納できるとうたっているものもある。しかし飛行機輪行の場合、必ずリアディレイラーを外そう。
とにかくフレームの先端に取り付けてあるものはできるだけ外すのが鉄則。クランクにしてもリアディレイラーにしてもフレーム先端についているものは壊れる可能性が非常に高い。
なんちゃって自転車ライターが飛行機輪行において適当にラッピングしてOKとか書いているが、絶対に外せ。
現地で泣かないためにもできるだけ外すことおすすめする。できればリアエンドも外すとベストだが・・・これ外すとエンド工具つかない場合もあるのでこちらはケースバイケースね。
ディスクブレーキプレートは外す
ディスクブレーキプレートも外す。ブレーキプレート取り付けたまま輪行袋に収納するのはけっこうヤバイ。鉄道輪行の時も外したいくらいだ。
取り付け、取り外しの時にツールが必要になるが、現地で奔走すること考えれば大した事ではない。
できればフロア型のポンプを持参する
飛行機輪行をする場合、タイヤのエアを抜くことを求められる。で、現地に到着をしてロードバイクタイヤのエアを入れるのはかなり重労働。
そこで、いつも使っているフロアポンプを輪行袋の底に入れておくのはけっこうおススメ。どうせ1kgくらい増えてもさほど変わらない。であれば現地での重労働が一つでも少なくなればいいと考える。
いつものフロアポンプで、きっちりといつものエア圧がタイヤに入れば・・・飛行機遠征ブルベにおいて現地での心配事も一つ減る。
飛行機輪行の実際と空港での手続き・受け渡しの流れ
飛行機輪行の場合、輪行袋をセキュリティを通し大型荷物の受け渡しカウンターで輪行袋を引き渡す。これらの流れを国内や海外での飛行機輪行の例を見ていこう。
成田空港:ジェットスター「北海道千歳」行きの飛行機輪行
まずは国内線のジェットスターで成田空港から北海道の千歳空港へ行く場合の飛行機輪行の手順です。こちらは成田空港の第3ターミナルとなります。輪行袋はオーストリッチOS500を使いました。
ジェットスターはウェブで予約をする際に「スポーツ用品」という枠で追加の荷物としてオプションを購入しておきます。また重量によっても金額が違いますのでどのくらい輪行袋が重くなるかも確認をしておきます。
ウェブチェックインをしていても預け荷物がある場合はチェックインカウンターへ行きます。その際に輪行袋の重量も量ります。
今回は25kgとしてあったので、その重量内に収まっています。チェックインが完了をして輪行袋にチェックインのタグは付けられます。次に輪行袋のセキュリティにいきましょう。
チェックインカウンターの一番奥に大型手荷物の検査場があります。そこでX線検査を受けて輪行袋を預けます。ベルトコンベアの検査を受けたらそのまま飛行機の貨物へ行きます。ここで輪行袋とはお別れです。
ジェットスターが千歳空港に到着。
荷物ピックアップの端っこの方で係の人が台車に乗せて輪行袋を持ってきてくれました。
大体どこの国内空港でも、このように大きな荷物や輪行袋はベルトコンベアには流れず、係の人が手で運んできてくれることがほとんどです。
続いて海外の飛行機輪行について見ていきましょう。
羽田空港:エールフランス「パリ」行きの飛行機輪行
こちらは2019年PBPの時の羽田空港からパリへ飛行機輪行した時の様子です。
羽田空港でもチェックインカウンターに並び預け荷物の重量チェックなどを行います。
チェックインカウンターで重量チェックをします。チェックインが終わり輪行袋にタグが付けられます。
ちなみに航空会社によって輪行袋など大型荷物は追加の料金が必要になります。エールフランスも追加料金(100ドルほど)が必要でした。
こちらが羽田空港の大型手荷物検査場です。ベルトコンベアに乗せてX線検査します。検査後はそのまま流れていき輪行袋はここでお別れ。
パリ・シャルル・ド・ゴール国際空港に到着。輪行袋は手荷物ピックアップの端にあるオーバーサイズバゲッジのエリアにおいてありました。
こちらで輪行ケースをピックアップして無事に到着となります。
このように飛行機輪行では国内はソフトケースのオーストリッチOS500、海外の飛行機輪行はセミハードのプラダンボール輪行ケースを使って飛行機輪行を行います。
飛行機輪行のスタイルとおすすめ輪行袋・ケース
飛行機輪行をする場合、そのスタイルを考える必要がある。具体的にはソフト輪行袋を使うか、ハードケース輪行袋を使うか、いつものペラペラ輪行袋を使うか・・・となる。
その他の方法としては自作のダンボール箱に詰めるなどの方法があるが、こちらについては自己責任として割愛する。
またカンタスエアなどは空港で自転車用の専用ダンボール箱が売っているようだが、これに関しては現地購入ということで、必ず手に入るかはわからないそうだ。使えないだろ。
というわけで、基本的な3種類の方法をチェックしてみよう。
ソフトタイプの輪行袋
一番オーソドックスな輪行袋となる。基本的には厚手のウレタンパッドなどで輪行袋前週が覆われている。輪行袋外周実寸は238cmとなっていて、航空会社によっては203cm以上となり追加料金の必要が発生する。
ジェットスターなどのLCCでは国内外、追加料金で問題なく持ち込めている。
ちなみにガムテープや養生テープで全体をコンパクトにして203cm以内に収めるという力技を聞いたことがあるが、あまりおすすめできないw
オーストリッチ 輪行バッグ OS-500
出典:アマゾン
- 材質:NL420D/PUC
- 製品サイズ:135×21×82cm(車両収納時)=トータル238cm
- 重量:2.0kg(付属品は含まず)
- 対応車両:ロード・MTB共通
- 送り状専用ポケット、内ポケット装備
ソフトタイプの飛行機輪行袋と言えば、このオーストリッチのOS500は定番。オレも2つ持っている。迷ったらこの輪行袋で決まりだろう。
ゴリックス 自転車用輪行袋 飛行機・航空輸送向き
出典:アマゾン
- 【サイズ】長さ135 x高さ82 x幅21cm=トータル238cm
- 【重量】2.4kg
- 【材質】70%ナイロン(420D)、30%ポリエステル
- 泥や砂利のついた車体を積んだ際に、便利な排出口を輪行袋底面に2か所配置
- ホイールは、ベルクロ固定ができる専用スペース
OS500とウリ二つのゴリックス輪行袋。オーストリッチよりも安いが・・・レビューで破れた、ファスナーがこわれたなどの記述も散見できる。
ハートボックスタイプの輪行ケース
ハートボックス、ハードケースタイプの輪行袋もある。値段はけっこう高い。
プラスチックダンボールタイプであれば値段は抑えられる。プラダンタイプは自作する人もいるようだが・・・時間やコスト考えるとあまりメリットを感じない・・・
キュービクル バイクポーター PRO コンパクトサイズ
出典:アマゾン
- 折り畳み式で、使用しないときはコンパクトに保管することができます
- 耐久性に優れた丈夫なプラスティック段ボールを採用
- 水濡れに強く、何回でも使えます。 持ち運びに便利な取っ手付き
- サイズ(外寸):幅1060×高さ740×奥行230mm (折畳時:730x670mm)=トータル203cm
- 付属品:説明書(貼付可能)・固定ベルト
- 参考重量:2.2kg
各航空会社の203cm枠にピッタリするプラダンボール製の輪行ボックス。オレもこれを使っている。ただOS500などに比べ自由度は少ない。バイク以外の荷物が入れにくいなどの不便さもあるが、とりあえず一番安心してロードバイクをパッキングできる。
シーコン エアロコンフォートプラス3.0
出典:アマゾン
- 参考重量:8.0 kg
- 外径サイズ:129 x 98 x 45 cm
- 折りたたみ時サイズ:80 x 90 x 23 cm
- 12mmのスルーアクスルにも対応。 ディスクロードタイプのバイクも、収納できる
サーファス 自転車 バイクケース
出典:アマゾン
- 頑丈なポリエチレン製の外ケース
- 4つのステンレススチール製ラッチ(掛け金)で究極の固定力
- 3層のフォーム素材で保護。内部の固定用ストラップ付き
- サイズ:外側:114cm×71.1cm×25.4cm
- サイズ:内側:110cm×67.3cm×23.5cm
- 参考重量:14.06kg
あえて防御しない普通の輪行袋
飛行機輪行でもあえて防御や必要以上の梱包無し、通常の鉄道輪行と同様のスタイルで預け荷物にする猛者もいる。マジか。
これは自転車という預け荷物をあえてペラペラで中身が見えるような形で預けることにより乱暴に扱えないというようにするもの。一種の賭け?
たしかにばらばらになった自転車が頼りないペラペラのオーストリッチL-100とかに入れるスタイル。まぁ、たしかに空港職員としては、防御なしのペラペラ袋に入ったロードバイクをぶん投げたり、重ねたりすることは躊躇するよな・・・間違いなく壊れそうだし。
ただ、この方法は自己責任でよろ。
そういえば、稲垣さんも(海外とかヘブンとかで)このスタイルだったな・・・
まとめ
海外ブルベでも国内遠征ブルベでも、飛行機輪行は非常に気を使う。しかし、これをクリアしないと遠征できないんだから仕方ない。やるしかない。
無事に預かってくれるかというところから始まり、現地到着をして輪行袋が無事に出てきた時は、ホントにホッとする。
しかし、このあとホテルなどで輪行袋を開き、きちんと自転車が組み上がってやっとこ一息できるのだ。海外含め現地に到着をしたら、すぐにバイクを組み立てよう。バイクを組み立てバイクの無事を確認するのが現地でいの一番にやる作業だ。
到着をしたその場所は、国内外を含め完全にアウェイだ。自転車やロードバイクが破損などしているものならマジで落ち込む。
そうならないよう、ぜひとも飛行機輪行について、今一度チェックをしておくと良い。特にPBPの時などはパリ(シャルル・ド・ゴール)空港は数千台の自転車やロードバイクが集結するのだ。
ぜひとも無事に無難にスタート地点へ行きたいと思っている。
ちなみにPBPイヤーはいつもそうだったけど、この手の輪行袋や輪行箱・ボックスは販売数も少ないので、いきなり品薄になる。できるだけ早めに確保することおすすめする。
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